医療の豆知識

慢性C型肝炎 - 治療 - 一般薬物療法

慢性肝炎の一般薬物療法の目的は、肝病変の進展を抑制することにありますが、薬剤により作用が異なり、したがって、期待される効果にも差異があります。有効性の評価はトランスアミナーゼ値の改善やアルプミン値、TTT、ZTTなど肝機能検査数値の改善によります。一般的には、安定時期(トランスアミナーゼ値が100単位以下)には経口薬投与で4週ごとに通院させ、トランスアミナーゼ値が100単位の状態が続くようであれば注射薬による治療に切り替え、通常、トランスアミナーゼ値が下降してきたら、経口薬治療にもどします。

・強力ネオミノフアーゲンC(ミノC)
ミノCの主成分は甘草から得られるグリチルリチンです。グリチルリチンに抗アレルギー作用があることは古くから知られ皮膚疾患治療薬として使用されていましたが、昭和40年代から最も確実なトランスアミナーゼ下降作用が期待される薬剤としで慢性肝炎の悪化時などに広く使用されています。ミノCのトランスアミナーゼ降下作用については必ずしも明らかではありませんが、抗炎症作用、細胞膜安定化作用、γ-IFN誘起作用などの作用があげられています。HCVに対する直接作用はほとんどなく、ミノC投与により、トランスアミナーゼが下降してもHCVの量に変化はほとんどみられないといわれています。

ミノCは当初40mlを1日1回静脈内注射で投与します。2週間程度経過をみてトランスアミナーゼの下降降下が十分でなければ1回60mlに増量します。連日の投与では1-2週で明らかなトランスアミナーゼの下降が見られる例が多数です。2-4週投与してGOT、GPTの改善がみられたら直ちに中止せずに週3-2回と投与回数を減らしていって、GOT、GPTの再上昇がなければ中止するのが一般的な治療法です。ミノCの効果は肝の炎症の鎮静化であり、投与中は効果がみられるが中止後はにはトランスアミナーゼの再上昇をみることが少なくありません。
グリチルリチン製剤に共通することですが、副作用として、低アルカリ血症、高血圧や浮腫などがみられることがあるので長期に投与する場合は血中の電解質や血圧に注意することが必要です。

・小柴胡湯
主成分は甘草で、その主な有効成分はグリチルソチンです。甘草のほかに柴胡、人参などが含まれ、これらはいずれも細胞膜保護作用、抗炎症作用を有します。トランスアミナーゼ値が100単位程度までの例やミノC投与でトランスアミナーゼが下降してきたら、ミノC投与回数を漸減して小柴胡湯の経口投与に切り替えます。

・グリチロン錠、リコチオン
これらもグリチルリチンが主成分で、多くは小柴胡湯と同様にトランスアミナーゼ値の比較的安定した時期やミノC投与からの経口薬への切り替え薬として用いられています。

・プロトポルフィリン
NaPPやプロルモンなどの製剤が市販されています。いずれも経口投与でトランスアミナーゼ下降作用がありますが、その効果はミノCほど確実ではないので、ミノC投与で鎮静化させたあとにこれら薬剤の経口投与に切り替えて安定状態の維持に使用されています。時に皮膚の色素沈着や顔面紅潮などの副作用を訴える例がありますが、投与を中止すれば消失します。

・アデラビン9号
肝抽出物製剤で肝抽出物のほかに諸種の酵素反応の補酵素として作用する成分を含有します。トランスアミナーゼ値の下降作用のほかに蛋白代謝の改善効果もあげられています。
通常はブドウ糖液などに混合して静脈内注射や点滴静注により投与されます。時に静脈内注入時iこ胸部不快感を訴える例があり、静脈内注射はできるだけゆっくりと注入する必要があり、点滴静注のほうが望ましいでしょう。

・プロへパール、ソルコへプシール
肝水解物製剤で種々のアミノ酸、核酸前駆物質、ペプタイド、ビタミンなどを含みます。トランスアミナーゼ下降作用のほか抗脂肪肝、抗線維化、肝細胞再生賦活作用などがあげられています。短期的な効果はそれほど確実とはいえませんが、副作用はほとんどなく、長期投与が可能であるため、比較的安定した症例に広く投与されています。

・チオラ
チオプロニン製剤で、抗炎症作用、抗アレルギー作用があるとされ、慢性肝炎患者のトランスアミナーゼ値を改善する目的で用いられています。しかし、副作用として本剤の過敏症では薬剤性肝障害をきたし、肝障害を悪化させることがあるので注意が必要です。投与開始後トランスアミナーゼ値がむしろ上昇するような例では投与を中止すべきです。

・EPL
大豆から得たリノール酸を主成分とするリン脂質で、抗脂肪肝細胞膜安定作用などがあるとされています。慢性肝炎のトランスアミナーゼ値の改善傾向がみられるとして使用されています。

・ウルソ
ウルソデオキシコ」ル酸は胆汁酸の成分ですが、胆汁を流れやすくする作用や肝臓への血流の増加作用などがあるといわれています。慢性肝炎患者のトランスアミナーゼ値改善効果があるとされ、用いられています。

・その他
胃潰瘍の治療薬であるキヤベジン、消炎酵素剤であるエンピナースPやリバオールなども慢性肝炎患者に対して有効であるとされ使用されています。

2008年08月04日 19:30


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