院長からひとこと

禁煙をめざす方々へ

 昨今、喫煙の健康に及ぼす影響が多くの人々に知られるようになり、受動喫煙の健康被害もひろく認知されるようになりました。
 
 都内で始まった公共の場所での喫煙禁止が全国的に広まりつつあり、そうでないところも多くの場所が分煙の対策を講じています。
 
 私は、1995年にすでに喫煙の健康被害が知れ渡っていたアメリカ合衆国から帰国しました。
 
 私の医院の隣に町役場がありますが、さまざまな手続きのために役場を訪れ入口の扉を開くと、濛々とした一面の煙の中に職員さんたちが仕事をしていました。
 
 入口に近い窓口には、若い女性の職員さんたちがいましたが、彼女たちは喫煙しないのに一日中煙草の煙を吸って仕事をしているのです。

 これは、本当に驚き以外の何ものでもありませんでした。

 この田村の地域は葉タバコの産地として有名で、農家の方々も葉タバコからの現金収入を得ている方が多く、地域が喫煙を奨励しているような傾向さえありました。

 それは、ある意味、現在も変わっていません。

 このような環境の中で、喫煙の健康被害を熟知し、予防医学の重要性を知る医師として進むべき道は何か?

 自問自答の末、様々な紆余曲折を経て、2001年4月に 「考える喫煙者の会 THINK TWICE」 を立ち上げ啓蒙活動をはじめました。

 毎月1回、医院で診療終了後に地域の人々と会合をもち、喫煙に関するさまざまな情報を紹介しながら、禁煙中の方、禁煙を考えはじめた方、喫煙をやめるつもりがまったくない方などすべての方々と語り合い充実した時間をもちました。

 毎回、当時の町長さん・助役さん・保健課長さんなどを招いて住民の健康のための情報をひろめました。

 この会合から、まず役場の分煙を要請し、間もなく役場に分煙の別室が設けられました。

 これは全国の役所や役場の中でも早い対応であったと思います。

 参加者の中には次々に禁煙に成功する方があらわれ、そのまま現在も禁煙を継続中です。

 その方たちの禁煙成功体験談も発表していただきました。

 禁煙を開始してどの時期が一番つらいのか、そのときにどのような対処をしたのかを参加者が聞くことにより、禁煙にいたるまでにニコチン中毒との壮絶な戦いがあることを知り、また、喫煙をやめてからの身体の変化などの貴重な情報が伝わりました。

 今考えますと、この時期に禁煙に踏み切った方たちにとって、この会はある意味で人生を変える役割を果たしたといっても過言ではないと思います。

 考えるところがあり、医院に病床をもつことになるまでこの会合を数年続けましたが、その時にわかったことは、禁煙の成功・失敗はその方の人生を反映するということです。

 禁煙に失敗する場合、また、禁煙に踏み切る自信がない場合、「タバコは大人の嗜好品」などとさまざまな理由を設けて言い訳をされますが、その方たちは、そもそも禁煙をしようという動機が不充分であるか、ニコチン中毒の禁断症状に負けてしまう意志の弱い方たちであると考えます。

 私もかつてはヘビースモーカーで何度も禁煙に失敗しましたからよくわかります。

 近年のように喫煙の害の情報がいきわたらず、社会的な認知もされなかった時でも、私達の会の参加者からは多数の禁煙成功者がでました。

 今は社会が背中を押して禁煙を励行する時代です。

 禁煙のための処方薬に保険がきく時代です。

 このような環境のなかで禁煙に失敗したとしたら、それは何を意味するのか、もうお分かりでしょう。

 ちなみに、私の医院の禁煙外来では、受診者の殆どが禁煙に成功しています。

2010年09月17日 18:58


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